脚長差には、様々な骨の疾病、変形性股関節症などによる「真の脚長差」と、足部の回内、回外、膝の伸展制限の度合などによって生ずる「見かけの脚長差」があります。 【真の脚長差】 骨自体の長さが異なることによって生ずる差で、主に病院で医師により計測される。 【見かけの脚長差】 人体は脊椎動物の一般体型に従って「左右対称形」である(人体解剖学 藤田恒太郎著p14)といわれている。 見かけの脚長差の例としては、片足のみ尖足位(患足)の場合がこれにあたります。尖足のウェッジ補高は、80%までの高さが望ましいといわれます。少なめの補高によって踵の接地を試みる日々の運動が、尖足の状態を改善する効果が期待されます。 脚長差の自覚はないが、膝の伸展制限や、足部の回内・回外など、本人も足部変形が通常ではないと自覚しているものの、骨盤の水平を測るペルビックレベルという水準器を骨盤にあててみてびっくり。異口同音に「足が短い」と大声を出されます。 次に、できる限り膝の伸展に意識を持っていただき、回内、回外の状態を人為的に望ましいアライメントに修復し、再度、ペルビックレベルをあてがうと不思議そうに「あれ?戻っている」の様な会話のやり取りがしばしばあります。 【主な症状】 ・長いほうの足に痛み ・腰や肩に痛み ・膝や股関節に痛み
・骨折や脱臼などの負傷によって ・日常の姿勢や歩くときの癖によって徐々に足の骨格や筋肉が縮むことによって
【補高の基準と方法】 ペルビックレベルを使用して、短いほうの脚にどの位の補高をすれば、骨盤が水平に近づき、また本人が快適と感じられる高さを確認します。実際に補高する量は多くの場合測定値の半分の量から始めます。例えば実測値で20mmあれば10mmの補高を施すことになります。これは永年の癖を急激に変えてしまうと身体の各所に負担が大きいと考えられますので、それらの要素を考慮してのものです。 補高量が5mm以内の場合は、装着に支障がなければ、インソールの踵部の厚さを加えて対応します。 補高量が5mmを超える場合には、靴の履き口が深く、内部に充分なスペースがあればインソール等での補高も可能ですが、靴がしっかり履けなくなってしまうような場合には、靴の本底を加工して補高を施します。 外出の靴には補正・補高が配慮してあるのに、室内の履物は考えられていない場合が多いのですが、特に、家庭での仕事が多い主婦の場合にはしっかり考慮されるべきことであります。 特に「見かけの脚長差」には、 ①膝の伸展を改善させるリハビリ運動 ②踵骨をしっかり保持し、三つのアーチ補正で踵骨の内外反の改善が期待できるインソールの着用 ③足部の回内、回外にはアンクルブーツの着用をお薦めします,補高が靴の中で可能。外見をそこないません。 以上、様々な配慮によりQOLが向上します、足部はもちろん、膝、腰への良い影響が期待されます。脚長差に気付かず時を経てしまうのが私たちの常です。症状が現れる前に手を打ちましょう。 傾斜のある歩道を歩き、しばらくして下肢に違和感を感じます。「脚長差」とはこれをいうのだと。