名古屋で靴やインソールのことなら足と靴の科学研究所

 

 
 
 
 
 

所長のひとり言

 足と靴の科学研究所所長を務める清水昌一がお届けする随筆集

30歳代真っ盛り、イタリーのフアッションをリードする同年代モデリスタ(靴のデザイナー)達と夜を徹して語り合ったアイデアを日本に持ち帰り、早速、靴にして銀座通りの靴店ウインドウに飾られるのが楽しみでした。40歳半ば、父の大病に遭遇し「健康」の有難みを身に染みて感じて以来、ドイツとその周辺国で足・靴のありかたに接し、あまりの取組み方の違いにカルチャーショックを受けました。
 特にドイツがダントツですが、国自らの施策で3、4歳位までの検診は特に下肢に重点が置かれます。また、母親もことの重大さをよく理解し、3ケ月毎に検査を受けることを常識として受け入れています。
 次は、最少で7年間研鑽した後、得られる国家資格「整形外科靴マイスター」の存在です。これが国、生活者の支えになっているのです。
 最後に、靴です。ファッションに明け暮れた者にとっては、お化けのような外観の靴が、彼らの生活環境に入り込んでしまうと、当たり前に美しく見えるから不思議でした。
 何から始めたらと途方に暮れていた時、ドイツ整形外科靴マイスターK・H・ショット氏との出会いがありました。国を動かすことを考えてもあまりにも遠い話、その前に、先ず何よりも彼から学ぶことが先決と決意しました。その過程は遅々たるものでしたが、走馬燈のように駆け巡る思いを集大成とし、このような形で綴らせていただきます。

ひとり言⑨
靴底とクラシックモデル

   最近、「クラシックモデル」と称する靴が評判を呼んでいると聞き、何物かと店頭で見たら、土ふまずの部分がえぐれておらず、底の形が平らな靴のことだと知った。
   団塊世代以上の方は「懐かしい。我われの時代は運動靴といえばこれを指したのだ。」と取り立てて騒ぐこともなし。しかし、若い世代の方にとっては、新鮮に感じることなのでしょう。
   売り手側が、何年モデルと称して毎年やむを得ず外観だけでも変化させ、究極は前足部と踵部が全く分離して、おせんべいを付けたような底の靴までもてはやされました。
   私たちのショットセラピーシューズは、30余年前から靴型を変えていないのだから当たり前でしょうが、ひたすら写真のような靴底を主張し続けています。確かに、細ければ見かけはスマートでしょう。しかし、土踏まずの支えは弱くなり、それ以上に接地面積が少なく安定性に欠けます。横へのぐらつきが足首や膝への負担となったり、ねん挫の原因になるかもしれません。
   最近のクラシックモデルへの回帰は、物の無い時代から、物が氾濫し、情報過多の時代を生きる明晰な消費者が、売り手の政策を越えて、ファッションとは無縁で行きついた結果なのでしょう。
   流行にはサイクルがあるといわれています。それでは困ります。ぜひ永久にクラシックシューズが生き続けることを願うのは私だけでしょうか。

ひとり言⑧
靴のデザインと機能

 創造力をはたらかせればデザインは無限に拡がります。しかし、機能は無くてはならない要素が備わっていなければ、その役目を果たすことができません。限りがあるのです。
  真っ白の革に塗り絵の如く色を塗るのとは違い、色革を重ねて、縫い合わせねばなりません。したがって厚みが生じるのは当たり前です。ましてやミシン糸が縦横無尽に走ります。
  デザインが複雑になればなるほど、その度合いは多くなり、本来革の特性であるはずの自然の伸縮性が阻害され、足へのなじみは望めません。特に、外反母趾で、母趾球辺りに過剰なデザインが施してあれば、圧痛に輪をかけ最悪です。また、指がこぼれんばかりに甲の浅い靴、たしかに見た目はスマートでしょう。
  巷では「おしゃれで履きやすい靴」の文言が氾濫し、買い求められています。しかし、私たち足と靴の科学研究所でお薦めする靴は、決してデザインを無視するわけではありませんが、シンプルでプレーンな深い靴になりがちです。様々なご批判をいただきながらも、究極「お足のためですよ」と説得し続けています。
げた箱の中に捨てに捨てられず眠っている靴をどう思われますか?

ひとり言⑦
参加しませんか! ご自身の靴を共に作りあげましょう

 靴の適合具合は、その靴を履いて歩いた後に発見される様々な条件をその都度是正して、最終的にご自身が適合したと実感されるのです。私たちは如何に多くの情報を集め、それらを実際の靴に物として具現化するかに日夜努力を重ねています。
   カウンセリング時の限られた時間内では私たちに伝えきれない問題点も多くあることでしょう。メモ書きにいっぱい用意されている方は稀です。残念ですが、お互いに制約された時間内でおうかがいできなかったことが多いのは許されることではないですが、これが実態です。
   このようなことを最小限に食い止めなければなりません。
『問題点や気になることが生じたら躊躇することなくお問い合わせください。』 最初のカウンセリング時とは違った事態が生じている場合もあります。
  また、修理もあなどれません。少なくとも6カ月毎には『定期的なチェック』が必要です。
『着る』と『履く』では大違いです。体重を支え、歩き、走る。
「ご自身の靴を共に作りあげましょう!」 私たちのポリシーです。

ひとり言⑥
検足のすすめ

「足は重要だ!」「足は第二の心臓」「足は家に例えれば土台石」など古くから言われていますが、実際、何故か?解かるけれども、ではどうすれば良いか理解されているのでしょうか?
1520年前、本屋さんの健康書や医療専門書売場には必ず56冊「歩く、足、靴」に関する書籍がありました。今はどうでしょう、せいぜいリハビリ専門書の中に歩行分析で「歩」の活字を見つける位です。
一体、情報がこれ以上無いのか、はたまた生活者に満たされてしまったとの考えの結果なのだろうかと勘繰ります。

確かに、パンプスが靴であるという考え方は過去のものとなり、「靴が悪い」のいってんばりだったのが、今に至っては耳慣れない言葉になりました。ウオーキングシュズ、運動靴を履くことで全てが解決されているかのように思われているのでしょう!
国の政策で、病気予防のための検診、ロコモティブシンドローム予防教室などが盛んに呼びかけられています。
足も同様に、痛みが自覚されてからでは遅いのです。痛みとなるであろう原因が予め解かっていれば早期に対策ができ、大事にいたりません。

特に、子供の足は、形成される過程でいち早く問題点を見つけ処置し、問題発生前に食い止めることができれば、大人になってその問題を引きずらずにすみます。
平成2766日の中日新聞夕刊で、『「5歳で腰痛」の衝撃』を見つけショックでした。国は来年4月から小中学校などの学校検診で、四肢の状態をみる検査を義務付けるとのこと。

ドイツでは、出生時、立ち会った医師は、どの部位よりもまず足部をチェックしトラブルがなければ親ともどもほっとすると言う。その後の母子手帳に記載の検診でも、下肢のチェックに力を入れています。

勿論、大人の方にとっても、ご自身の足・脚の現状を理解し、今後どのように維持、改善していくかがとても大切なのです。
健康維持のための運動として手軽にできるウォーキングやジョギングが盛んですが、ご自身の足の状態を知った上で歩かれている方はごく少数でしょう。ただ万歩計の数字を目標に、やみくもに歩き続ける事が、今は自覚が無いけれども、近々、トラブル発生の可能性を秘めているということもあります。
ご家族、ご友人、お子様、お孫様の「検足」へのご参加をお待ち申し上げます。

ひとり言⑤
足に良い靴

先に「足に悪い靴」とは何かを考えてみましょう。
   1. まず、人本来の足型にはほど遠い形状の靴
        残念ですが、靴は歩くための道具としてではなく、着飾るためのモノと考えられ、
        多少圧迫が強く、痛くても辛抱せざるを得なかったのです。
        近年、パンプスが靴であり、靴はパンプスという時代が遠のきだしているのがせめてもの
        救いです。

   2.  ハイヒール靴
        今さら申し上げることでもありませんが、ハイヒールが足に良くないということは
        常識化されています。
        しかしTPOに応じてやむなく履くこともあるでしょう。
        昔、ドイツで耳にした話ですが、女性のヒールの高い靴は、机の下に隠して履くものだと聞き、
        徹底している靴観に驚きました。
        仕事などでハイヒール靴の着用が義務付けられていることは、足にとって悲劇的な状況だと
        思います。インソールなどを使用したり、足のストレッチやマッサージなどで日常的なケアが
        大切です。

   3.  軽い靴、柔らかい靴
        あえて「No」と言わせてほしいのです。
         
        靴を軽くするための大きな要素は、まず「靴底」です。ゴムなど材料の発泡を多くすれば軽く、
        柔らかくなりますが、極端な場合、体重の支えにはほど遠く、地面からの衝撃もダイレクトに
        受けます。
        次に身体に例えれば背骨にあたる「中底」です。残念なことに外からは見えません。
        材料を粗悪なものにすれば軽くはなりますが、歩行時のぐらつき、型崩れは悲惨なものです。
        「ヒールカウンター」も侮れません。
        軽くて柔らかな靴にはそもそもヒールカウンターがなかったり、備わっていても非常に弱々しい
        ものだったりします。これでは大切な踵の保持力はゼロと言ってよいでしょう。
        柔らかいクッションの文言にはてこずります。
       
手で少し押しただけでも完全につぶれてしまう。
       これでは体重を支え、様々な地面を歩くわけですから、まったく無いに等しい状態です。
        衝撃吸収は、靴の組み立て方が大半を左右します。素材はその一部なのですが、あたかもそれが
        全てであるように思われているのは残念です。
        往々にして靴の良し悪しの評価が、装着時のわずかな時間で決定されますが、
        本来靴は歩いて初めてその評価がわかる物なのです。

        しかし、全ての軽い靴、柔らかい靴を否定するわけではありません。
        多くの軽い靴、柔らかい靴が先に述べたような骨抜きの状態なので、あえて「No」と言わせて
        欲しいのです。
        
このようにして「足に悪い靴」とは何かを考えてみましたが、「足に良い靴」とはどんな靴なのかイメージが浮かんできましたか?

ひとり言④
足に合う靴

「足に良い靴、履きやすい靴、歩きやすい靴」は日常語としてよく使われます。
先日も、ある雑誌社の取材を受けました。開口一番「そうするとあなたは、外反母趾の方には、三角形の靴を作るのですか?」と質問を受け、早速、拙著を進呈し、『申し訳ないが、これを読んで改めてお越しください。」とお引き取りいただきました。
適合性(合う)には、足長、足幅、足囲、甲の高さ、足趾の特徴など様々な項目があり、それに加えて、外反母趾に代表される疾患、アーチの形状、足部が内側に傾く回内、逆に外への回外など固有の問題が加わり、最後に、勝手気ままな歩き方によっても違います。
数えきれない”合わせる“という要素をひとつでも多く解決するのが、私たちの使命です。

ひとり言③
インソール(足底支持板)

 

私たちは、情報の多くを、立位、静止の状態から得ています。多くの方から、「歩くんだよ! 走るんだよ!」と盛んに動いた情報を要求され、ご批判をいただいています。もちろん、その情報を否定するわけではなく、常日頃、まず歩様を観察するのを第一義としています。
しかし、すでに私たちが行っている状態で問題が発見されれば、それを放置して歩けば歩くほど、走れば走るほど、良いパフォーマンスを望んでも無理でしょう。
「足は、家に例えれば土台石」決して難しい論理ではありません。
踵骨の内・外反、足部の回内、回外、3つのアーチ、見かけの脚長差など、それぞれ足から得られる情報をもとに、補装具の知識を最大限駆使して作製されるのです。結果として支持され、改善への見込みが可能です。
様々な部位にスポーツ障害が起こっています。主訴の原因の一部が、足からの問題ではなかろうかと思うのは私たちだけでしょうか。
その意味で、足の状態から予見される障害を少しでも取り除くのがインソール(足底支持板)の使命と考えます。
ドイツ語ではサッカーをFuss Ballと言われるのをご存じでしょう。まさに、手は使えない、足とボールの関わり合いのスポーツなのです。
日本では、サッカー、手が使えるラグビーフットボールと呼称されるのも不思議です。
奥寺選手が離独して間もなく、FCケルンで約1週間、選手たちと帯同し、医師、理学療法士、トレーナー、整形外科靴マイスターがそれぞれどのような役割を分担し、選手たちに接しているかを身近に見聞する機会を得ました。まず驚いたのは、選手が最低5足のインソール(当時は、年間2足補助がありましたが、現在は1足です。他は自費で用意する)を常時携帯し、修理、遠征の期間を配慮してのことか、午前と午後の練習に取り替えている姿などを見て、「足で稼ぐのだ」の意識が徹底していると考えさせられました。
ドイツがワールドカップを獲得したのは、余ほど特別なフォーメーションを駆使したからでしょうか!

ひとり言②
歩くこと

歩く前に立位が問題です。
自然の肢位とは、「歩行角」は12~13度。「歩隔」はコブシ大です。歩幅は個々人の条件により違いますから、最大限努力した長さが適当でしょう。図を参照(鈴木良平:足の外科 p.60, 金原出版, 1976より)
この自然の肢位で前へ進みましょう。これが望まれる歩き方です。ファッションモデルのように、直線上を足を交差させたり、前足部が内側に向いていわゆる鳩足歩行(Pigeon Feet)、極端な外股歩行などは禁物です。
歩き方五ケ条、果ては十ケ条などの文言を耳にします。私たちの歩き方は、癖と称してさまざまなのです。それを一気に5ケ所、10ケ所とお手本通りには出来ません。混乱するばかりです。
それではどうしたら良いか!

「踵から着地して出来るだけ長く後足部で歩くこと」と唯の一ケ条です。

その効用は!

  1. 踵から着地すれば自然とつま先は上がります。つまずきの大半の理由はつま先が上がっていないことです。踵から着地しようとする心がけが、自然と歩幅を大きくします。逆に歩幅が小さければ踵からの着地が難しい。
  2. 膝が伸び、膝のトラブルの予防と改善につながります。
    膝が曲がった歩行の連続が、膝関節と周辺組織への負担となり、悪い道のりを進むのです。
    膝の伸展をチェックすると、痛い方の膝が屈曲している現状に出あいます。
  3. 前足部への荷重が軽減されるので、開張足(ヨコのアーチの低下)によって生ずる、外反母趾、足底のタコ・ウオノメ等の改善と予防に効果を発揮します。
  4. 外股、内股では踵からの着地が不安定です。安定を求めれば、外股、内股も改善します

      


最後に一条だけ加えさせてください。
アゴを引けの反対で「天井を向かんばかりにアゴを上げてください」お腹が出て恥ずかしいと言われますが、逆に、筋肉が引っ張られ凹むのです。
「指で蹴れ」もすり足の方には全く無縁。逆に関節に無駄な負荷がかかるのが心配です。踵から着地すれば、蹴ろうと努力しなくても自然にあおるように親指が使えます「姿勢を良く歩きなさい」と言われ、どんな姿勢が良いか解らず右往左往。
この二条を励行し心がければ、結果として姿勢が良くなるのです。万歩計の数を目安に歩いても、その歩きざまにより歩けば歩くほどマイナスの効果の懸念が心配です。

ひとり言①
拙著「歩くこと・足そして靴」の題名について

「歩いた、歩いた!」と周囲から祝福され、大騒ぎをして以来、だれに教えられることもなく勝手気ままに歩き続けている私たち。ドイツでは、小学校へ入学する前までに、マニュアルによって歩き方を教わります。従って歩き方(歩容)は皆一様で、街並みは清流が流れるが如く整然としています。それに比べ、どうでしょうか!私たちの歩きざまは様々で、まさに「雑踏」そのものです。この歩きざまが、足、膝、腰、身体全体に良くも悪くも影響することは、あまり問われることがないので、この「歩くこと」をあえてタイトルの冒頭に据えました。

 次に「足」ですが、目と同様に個々人様々です。目のように自身の足をご存知でしょうか!せいぜい、お風呂上りの足跡から情報を得ているくらいです。検足の言葉が日常語でありたいものです。
「そして靴」については、歩きざま・足を究めた結果、最後に靴をどうするかが問題なのです。得られた情報を基に、例えば眼鏡のような靴あるいはインソールが望まれるのです。靴、靴、靴と履ける機会の少ない靴が下駄箱で眠ってはいませんか!

 

 
 
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